DTM マガジン 2003年9月号 Vol.111

INTERVIEW
VOID Modular System開発者のインタビュー、製品レビューが掲載されました。

 
DTM マガジン 2003年9月号 Vol.111
INTERVIEW より抜粋
文:竹 己季庵(美音工房) 氏


シンセとエフェクトが作れるVSTプラグイン

 PSOFT「VOID Modular System(以下VOID)」は本格的な音色作りが可能なモジュラーシステム・タイプのソフトシンセだ。モジュラーシステムとは、YMOでお馴染み「Moog IIIC」のようにオシレータ、フィルターといったモジュールを自由に選び、各モジュールのINとOUTを結線して1つの音色を作り上げて行くタイプのアナログ・シンセサイザーだ。
 しかしながら、「VOID」を単なるVSTインストゥルメントと言い切ってしまうと本製品の魅力を半減させてしまうことになるだろう。なぜなら「VOID」はVSTプラグイン・エフェクトとしても使用可能で、しかも単体のプラグインに引けをとらない性能を持っているからだ。
 従来のVSTインストゥルメントとは大きく異なり、ソフトシンセとエフェクトの二役をこなせる点が最大の特徴である。
 しかも同種の製品では最近では珍しく純国産という点も見逃せないポイントだ。


シンセとエフェクトが作れるVSTプラグイン

 VOIDは7カテゴリー19種類のモジュールの組み合わせ次第で、シンプルなリード系音色から複雑な音色変化を持つサウンド・エフェクトまで自由に作ることができる。
 その中にはエフェクト・モジュールも9種類含まれているので、それらを組み合わせたオリジナルのマルチ・エフェクト・プラグインとして使うのも面白いだろう(なおバンク5にはエフェクト・プラグイン設定として、ディレイやコーラスの他、ボコーダーなどのパッチが用意されている)。
  しかも、操作は複雑な階層のメニュー構成はなく、すべて操作はパネル上で行え、必要なモジュールを選び結線するだけでよい。
  「VOID」の音色キャラクターはビンテージ・シンセのシミュレートというよりは最近のアナログ・モデリング・タイプのハードウエア・シンセのサウンドに近い。
   全体的に厚みとアタック感を持ちながらも、抜けの良いサウンドが得意のようだ。またLFOやFM変調によるモジュレーション効果が強力で、エフェクターを使用しなくてもディストーションをかけたようなサウンドが簡単に得られるのも特徴だ。
  バンク0のプリセット音色にはそれを実感できるものが多く含まれているので、ひととおり音を聴いてみるとVOIDのキャラクターが見えるだろう。
  また内蔵エフェクト・モジュールはどれも気持ちよいかかり具合が得られ、特にコーラス・エフェクトがオススメだ。


動作は比較的軽め

 今回は、CPU=Pentium4 (2.8GHz)、メモリ=1.5GBを搭載したデスクトップ機を使用しCubaseSX上で「VOID」を試した。
 2小節程度のループ・フレーズを打ち込んですべて「VOID」で演奏させ、他のプラグイン・エフェクトなどを一切使わない、といった環境では同時に7基も立ち上げるとかなり動作が不安定になった。しかし、1、2基程度の場合ではこれといった不具合も無く、むしろ最近のソフトシンセの中では比較的動作は軽く、パソコンへの負荷は意外に少ないようだ。

~中略~

 「VOID」はわかりやすい操作性とモジュラーシステムならではの拡張性を備えており、たくさんのモジュールを駆使して音色作りを楽しみたい人だけでなく、音色作りの基本となるアナログシンセの仕組みを覚えたい人にもオススメだ。


竹 己季庵(美音工房):楽曲制作を始めとして、着信メロディ制作、アーティストのレコーディング・サポート、シンセサイザー/エフェクターなど の音色制作、各種音楽教育に関する業務を中心に活動。

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